キャンプで薪を割ったり、ブッシュクラフトを楽しんだりするなら、斧は欠かせない道具のひとつ。
そんな斧も、使い続けるうちに刃こぼれしたり、柄が痛んだりしてきます。
この記事では、斧の日常的なお手入れや研ぎ方、柄の交換方法について解説。
しっかりメンテナンスすれば、斧は一生モノの相棒になります。
斧の日常的なお手入れ方法
斧は手入れ次第で長く使える道具。
ここでは、刃と柄、それぞれの部位ごとにメンテナンス方法を紹介します。
刃(斧頭)のメンテナンス
斧は使用後の汚れやサビ対策が大切。以下の手順で手入れをしておきましょう。
汚れを落とす

使用後、斧頭にヤニやシブが付いていたら刃物クリーナーで落とします。

クリーナーを吹きかけて1分ほど置き、乾いた布で拭き取ればOK。
② 防錆のために油を塗る
汚れを落としたら、亜麻仁油を数滴たらし、乾いた布で薄く塗り広げます。
金属部分に油膜を作ることで、サビを予防できます。
③ ブレードカバーを装着する

メンテナンス後は、斧刃をブレードカバーで保護しましょう。
カバーが濡れているとサビの原因になるため、しっかり乾いたものを使います。
④ カバーのメンテナンスも忘れずに

革製カバーを使っている場合は、ミンクオイルや保革クリームでのケアもおすすめ。革の乾燥やヒビ割れを防ぎ、長持ちさせることができます。
また、自宅に皮靴等の皮製品用の保革クリームがあれば代用できます。
柄のメンテナンス
斧の柄も、乾燥や破損を防ぐために定期的なケアが必要です。
① 乾燥防止にはオイルケア

乾燥しすぎるとひび割れや劣化の原因になります。
月に1〜2回、亜麻仁油を薄く塗ってしっかり染み込ませましょう。
これにより、しなやかで丈夫な柄に育ちます。
② 保管場所にも注意
乾燥しすぎる場所や高温環境はNG。
柄が縮んで斧頭が緩むと、使用中に抜けて大変危険です。
湿気の少ない、直射日光の当たらない場所に保管しましょう。
③ 傷んだ柄は早めに交換を

柄がひび割れたり、腐っている場合はすぐに交換が必要です。
薪割り中に柄へ衝撃が加わると、ひびや破損につながることも。
異常があれば、そのまま使わず交換を検討してください。
斧の柄の交換方法
柄が割れたり腐ってしまった場合は、安全のため早めに交換しましょう。
多くの斧は交換用の柄(スペアハンドル)が販売されています。
① 交換用の柄を用意する
購入店やメーカーから、同型モデルに対応した交換柄を入手します。
サイズや形状が合わないと使えないので、必ず適合するものを選びましょう。
ハスクバーナなどはアマゾンや楽天でも入手できます。
② 古い柄を取り外す
古い柄は斧頭の根元でのこぎりで切断し、中に残った柄や木製くさびはドリルなどでできるだけ取り除きます。
その後、細い木片とハンマーを使って、柄が付いていた側から残りを押し出します。
③ 新しい柄を取り付ける
新しい柄は斧頭に差し込み、2〜3cmほど飛び出すまで打ち込みます。
木製くさびを打ち込んでから余分な部分を切り落とし、さらにスチール製くさびを直角に打ち込んで固定すれば完了です。
切れ味復活!キャンプ斧の研ぎ方
砥石の選び方と斧の研ぎ方
斧の刃は、包丁やナイフと同じように砥石で研ぐことができます。

砥石の番手の選び方
- 小さな欠けや日常のメンテナンス → #1000程度の砥石からでOK
- 大きな刃こぼれがある場合 → #400〜#500の中砥を使用
砥石は使用前に10分ほど水に浸けてから使いましょう。
滑り止めや布などでしっかり固定し、安定した姿勢で作業するのがポイントです。
研ぐときのポイント

斧の刃は、もともとの形状を保ちながら研ぐのが基本です。
薪割り用の斧とブッシュクラフト用の斧では刃の角度や厚みに違いがあるため、それに合った形を崩さないよう注意しましょう。
形を変えてしまうと、切れ味や使いやすさに悪影響が出ることも。
研ぐ際は“切れ味を取り戻す”感覚で、元の形を意識しながら進めてください。
ディスクストーンで手軽に研ぐ方法
砥石での研ぎ作業は、斧頭が重く意外と大変。
そんなときは、斧用に設計された「ディスクストーン」を使うのもおすすめです。
ディスクストーンは表と裏で番手が異なり、斧の刃に沿って円を描くように動かして研ぎます。
使う前には砥石と同様に、水に10分ほど浸しておきましょう。
斧本体を動かさず、ストーン側を動かすため、力もいらず作業がラクなのが特徴です。
重い斧でも安定して研げるので、初心者にも扱いやすいアイテムです。
100均のダイヤモンドシャープナーを使う

100円ショップでも、手軽に使えるダイヤモンドシャープナーが手に入ります。
水に浸す必要がなく、キャンプ中の簡易メンテにもぴったりです。
持ち手には適度な角度がついており、ダイヤモンド粒子配合の面で刃を軽くこするだけ。
日々の刃先調整にちょうどよく、砥石よりも気軽に使えるのが魅力です。
ただし、しっかり刃を研ぎたい場合には物足りないこともあるので、専用の砥石やシャープナーも併用すると安心です。
特にハスクバーナのような大型斧では、砥石よりシャープナーの方が扱いやすい場面もあります。

刃先の角度に合わせまんべんなく研いでいきます。

斧の刃の形状と研ぎ方の違い

斧には用途に応じた刃の形状があり、研ぎ方もそれに合わせて変える必要があります。
薪割り斧の「ハマグリ刃」
薪割り用の斧には、断面が丸く膨らんだ「ハマグリ刃」が採用されています。
これは刃の摩擦を減らし、薪に深く食い込むよう工夫された形状です。
切れ味自体は鋭角な刃に劣りますが、薪割りでは「割る力」が重視されるため、この形状が最適。
研ぐ際も、鋭角にはせず、丸みを残すよう意識するのがポイントです。
ブッシュクラフト向きの薄い刃
ブッシュクラフトでは、枝を削ったり樹皮を剥いたりと、切れ味が重要。
そのため斧刃は鋭角で薄く、刃先も直線的な形状になっています。
このタイプの斧を研ぐ際は、鋭角を保ちつつストレートに研ぐことが大切。
仕上げには、#1000の砥石のあと、#3000〜#5000で丁寧に磨き上げると、より切れ味が増します。
斧に刃こぼれはつきもの

斧は使い方の特性上、どうしても刃こぼれしやすい道具です。
そのまま放置すると、刃がさらに傷み、使い物にならなくなることも。
日頃から刃の状態を確認し、汚れやサビを落とし、必要に応じて研ぐ。
こうしたシンプルな手入れを続けることで、斧は長く、気持ちよく使い続けられます。
大切な道具だからこそ、しっかりメンテナンスして育てていきましょう。
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